条件は良いのに、なぜ転職後に後悔する?企業との価値観の相性が重要な理由

転職するなら、自分に合う会社を選びたい。
そう考えるのは、当たり前のことです。ただ、「自分に合う会社とは、どんな会社か」と聞かれると、はっきり答えられる人は意外と少ないと思います。

たとえば、
「風通しのよい会社」
「社員を大切にしてくれる会社」
「働きやすい環境が整っている会社」

どれも魅力的ですが、具体的にどのような状態を指しているのかイメージがつくでしょうか。
たとえば「働きやすい環境」ひとつをとっても、家庭の事情に合わせて勤務時間を調整できることなのか、業務量が適切に管理されていることなのか、落ち着いて仕事に集中できることなのか、人によって求めるものは異なります。
このように、同じ言葉でも、思い浮かぶ内容は人によって異なるのです。

そして、会社を選ぶ際、給与や勤務地などの条件に加え、求人票に書かれた魅力的な言葉から「なんとなく自分に合っていそう」と判断してしまうことがあります。その結果、入社してから「思っていた会社と違った」と感じるケースも少なくありません。

条件がいくらよくても、自分に合っていない環境で働き続けることは苦痛になる場合があります。
そうならないためには、自分が働くうえで大切にしたい価値観を明確にし、転職先企業でその価値観にあった働き方ができるか相性を確認することが必要です。
この記事では、企業との相性を価値観から考える必要性と、自分の価値観を整理し、企業選びに活かす方法を紹介します。

この記事で分かること
・条件が合っていても、納得して働き続けられるとは限らない
・自分の価値観と企業の相性を見極めるうえで大切なこと

 

条件が合っていても、納得して働き続けられるとは限らない

給与、勤務地、福利厚生。転職先を選ぶ際に、こうした条件は非常に重要です。
趣味の時間を確保したい、家庭との両立できる働き方がしたいなど、転職先に求める条件は人それぞれです。

ただ、希望する条件がそろっていても、日々の職場で感じる違和感までは解消されないことがあります。

たとえば、
・個人の成果が重視され、上司や同僚へのフォローは評価されない。
・自分の意見を主張しにくく、上司の判断に従うことが当然とされている。

給与や休日にある程度満足していても、このような状況が続けば、働きづらさを感じるかもしれません。
一方で、同じ環境でも「自分の仕事だけに集中できる」「方針が明確で迷わず動ける」とプラスに感じる人もいます。
企業との相性は、その会社の制度や慣習だけで決まるものではなく、自分がどう感じるかにも左右されます。

実際に、私がコーチングを担当した受講者にも、企業と大切な価値観が合わず、悩まれていた方がいました。
その方は、家族やペットとの時間を大切にしながら、経済的にも余裕のある生活を送りたいと考え、年収が高く、働き方や福利厚生も充実した大手企業のグループ会社に転職しました。
しかし、入社後に待っていたのは、上司の指示や判断に従うことが強く求められるトップダウンな職場環境でした。個人で案件を担当していても裁量は少なく、1年半経っても環境になじめず、今後のキャリアに悩んで相談に来てくださいました。
コーチングを通じて自己理解を深める中で、その方は、自分の考えをもとに仕事を進められる、ある程度の裁量がある環境で成果を出しやすいことが分かりました。また、人から直接感謝されることに大きなやりがいを感じる一方、転職先では顧客から感謝を伝えられる機会が少なく、仕事の充実感も得にくくなっていたそうです。

つまり、給与や福利厚生などの希望は満たされていたものの、本人が大切にしている仕事の進め方や、やりがいを感じるポイントが転職先と合っていなかったのです。
こうした違和感は、一つひとつは小さなものだとしても、日々繰り返されることで、仕事への意欲に影響してきます。
だからこそ、転職先を選ぶ際には、条件面だけでなく、自分が仕事で大切にしていることが、その企業で満たされるかを考える必要があるのです。

自分の価値観と企業の相性を見極めるうえで大切なこと

ここでいう価値観とは、働くうえで「こうありたい」「これは大切にしたい」と感じる考え方や、判断の基準です。
たとえば、次のようなものがあります。

・立場に関係なく、お互いの意見を尊重したい
・成果や貢献を、公平に認めてもらいたい
・困ったときには、周囲と助け合いたい
・自分で考え、判断することを大切にしたい
・会社の方針や判断に納得して働きたい

どれが正しいというものではなく、何をどの程度大切にするかは人によって異なります。また、生活環境や経験によって、優先順位が変わることもあります。
では、自分が何を大切にしているのかは、どうすれば分かるのでしょうか。

まずは、これまでの経験を振り返るところから始めてみてください。
特に手掛かりになるのが、仕事で満足感を得た場面や、強い違和感を覚えた場面です。

たとえば、「上司の判断に納得できなかった」という経験があったとします。
その理由は、自分の意見を十分に聞いてもらえなかったからでしょうか。それとも、判断の背景を説明してもらえなかったからでしょうか。
前者であれば、自分の意見が尊重されること。後者であれば、判断の理由を理解し、納得して仕事を進められることが、より重要なのかもしれません。

このように、同じ出来事でも、何に満足し、何に不満を感じたのかによって、大切にしている価値観は異なります。また、一つの経験だけで判断せず、複数の経験に共通する傾向を探すことも重要です。

そして、自分の価値観が見えてきたら、それが職場でどのような状態なら満たされるのかを具体的に考えてみましょう。
たとえば、「裁量を大切にしたい」であれば、担当業務の進め方を自分で決められることなのか、重要な意思決定まで任せてもらえることなのか。
「公平に評価されたい」であれば、成果に見合った報酬が支払われることなのか、評価基準が明確で評価理由を説明してもらえることなのか。
同じ価値観を表す言葉でも、求める職場の状態は人によって異なります。

そのため、企業選びでは、口コミや採用サイトに書かれた「裁量が大きい」「風通しがよい」といった言葉だけで判断せず、実際の業務の進め方や評価の仕組みなどが、自分の求める状態と合っているかを確認することが大切です。

たとえば、裁量の大きさを重視するなら「担当者が自分で判断できる範囲はどこまでか」、評価の公平性を重視するなら「どのような評価制度で、その結果はどうフィードバックされるのか」といった質問を、カジュアル面談や面接でしてみましょう。

抽象的な企業文化について質問するだけでなく、実際の仕事の進め方や制度の運用状況を確認することで、自分の価値観に合う職場かどうかを判断しやすくなります。
また、面接は企業が応募者を評価する場であると同時に、お互いの相性を確かめる場でもあります。自分が大切にしている考え方と企業の方針に共通点があれば、志望理由を伝える際にも活かせるでしょう。

とはいえ、すべての価値観が満たされる会社を見つけるのは難しいものです。だからこそ、「満たされなければ働き続けるのが難しいこと」と「できれば満たしたいこと」を区別しておく必要があります。
給与や働き方などの条件も含め、自分にとって譲れないものを明確にしておくことで、企業の魅力的な部分だけに目を向けず、納得できる転職先を選びやすくなります。

まとめ

自分に合う企業を選ぶには、給与や勤務地などの条件に加えて、自分が大切にしたい価値観との相性を確認することが大切です。
そのためには、まず過去の満足や不満を振り返り、「なぜ、そう感じたのか」を整理すること。そして、その価値観が満たされる状態を具体的にして、企業文化や評価基準、働き方などを確認していくことが必要です。「なんとなく合いそう」という印象を、自分なりの理由を持って判断できるところまで深めてみてください。

ただ、自分が何を大切にしているのかは、必ずしも一人で簡単に整理できるものではありません。過去の経験を振り返っても、なぜその出来事に満足したのか、何に違和感を覚えたのか、うまく言葉にできないこともあります。

PITTA Careerでは、これまでの経験をコーチと一緒に振り返りながら、仕事で大切にしたい価値観や、企業選びの軸を整理していきます。
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