転職を考えたとき、自分の強みを活かせる仕事を探すために、これまでの経験やスキルを棚卸しする人は多いと思います。
「人と話すのが得意」
「周囲から行動力があると言われる」
「上司には課題解決力を評価されてきた」
こうした経験や評価は、強みを知る手掛かりになります。
ただ、コーチングでお話を聞いていると、こんな悩みにも出会います。
「強みを活かせると思って転職したのに、思うように成果が出ない」
「前の会社では評価されていたのに、今の職場ではうまくいかない」
「得意な仕事のはずなのに、毎日がつらい」
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。
一つは、「コミュニケーション力」「課題解決力」といった大きな言葉で強みを捉えていて、具体的に何が得意なのかが曖昧なこと。もう一つは、その強みを「どんな条件で発揮できるのか」まで把握していないことです。
同じ人でも、仕事の進め方や周囲との関わり方によって、力の出しやすさは変わります。
この記事では、受講者の事例や私自身の経験を交えながら、仕事選びに役立つ強みの捉え方をお伝えします。
この記事で分かること
・なぜ「強みを活かせる仕事」を選んでもミスマッチが起きるのか
・強みを行動レベルまで具体化する
・強みの「発揮条件」まで特定する必要がある理由
・転職先で強みを発揮できるか確認する方法
なぜ「強みを活かせる仕事」を選んでもミスマッチが起きるのか
「人と話すことが得意だから営業」
「細かい数字を扱うことが得意だから経理」
「アイデアを考えることが好きだから企画」
強みから職種を考えるのは、仕事探しの入り口としては自然なことです。ただ、それだけで自分に合う仕事かどうかを判断するのは難しいと思います。
たとえば、同じ営業でも、新規顧客に次々とアプローチする仕事と、特定の顧客と長く付き合いながら提案を重ねる仕事では、日々の動き方が違います。個人で商談を進める場合もあれば、社内のメンバーを巻き込み、チームで提案をつくる場合もあります。
「人と話すのが得意」という強みが、どの営業でも同じように活きるとは限りません。同じ業界の営業に転職したとしても、顧客との関わり方や仕事の進め方が変われば、以前のように成果を出せないこともあります。
仕事を選ぶときには、職種名から一歩踏み込んで、実際にどんな行動が求められるのかを見る必要があります。そのために、まずは自分の強みの中身を、もう少し詳しく見ていきましょう。
「強み」を行動レベルまで具体化する
「コミュニケーション力がある」と言われる人でも、得意なことはそれぞれ違います。
たとえば、次のような人がいます。
・関係者の意見を事前に聞き、意見が分かれそうな点を調整して、会議やプロジェクトを進められる人
・初対面の相手ともすぐに打ち解け、短い時間で関係をつくれる人
・相手の話をじっくり聞き、本人もうまく言葉にできていない考えを整理できる人
いずれも「コミュニケーション力」と呼べますが、実際に得意な行動は異なります。
ここまで落とし込むためのヒントになるのが、過去に自然とうまくできていた仕事です。
たとえば
・どんな仕事で成果が出ていたか
・そのとき、自分は具体的に何をしていたか
・周囲の人より自然にできていたことは何か
・何をしたときに評価されることが多かったか
などを振り返っていきます。
大切なのは、「営業成績が良かった」「プロジェクトを成功させた」という結果だけで終わらせないことです。
なぜ、その結果を出せたのか。そこまで振り返ることで、初めて自分の強みが見えてきます。
実際にPITTA Careerを受講された、Web制作会社のデザイナーの方も、当初は「何でも屋で、自分には明確な強みがない」と感じていました。
デザインだけでなく、コーディング、サイト運用、既存顧客からの依頼対応など、幅広い仕事を担当していたためです。
ところが、うまくできていた仕事を一つずつ振り返ると、共通点がありました。
・コーディングでは、デザインという完成イメージをもとに形にする
・サイト運用では、事前に決めた計画に沿って作業を進める
・顧客からの追加依頼では、要件や目的を確認し、それに合う形に仕上げる
共通していたのは、「型や前提条件を理解し、それに合わせて具体的な形に仕上げること」でした。
本人にとっては当たり前にやってきたことだったので、強みだとは思っていなかったのです。
こうして振り返ると、「いろいろな仕事をやってきただけ」と思っていた経験にも、一貫した得意な行動が見つかります。担当した業務の幅広さだけでは分からなかった、その人らしい強みが見えてきました。
強みには「発揮条件」がある
強みを具体化したら、次に見ていきたいのが、「どんな状況で、その強みを発揮しやすいのか」です。
私は学生時代、アルバイトリーダーやサークルの副代表を経験し、「コミュニケーション力」が自分の強みだと思っていました。
そのため、新卒で作業スタッフに指示を出しながら現場を動かす仕事に就いたときも、自分に向いているはずだと考えていました。
ところが、実際にはなかなか成果を出せませんでした。
その職場では、多くの人に次々と指示を出し、イレギュラーにも素早く対応しながら、現場全体を動かすことが求められていました。
一方、私は一人ひとりと丁寧に話し、相手が動きやすい状態をつくることに時間を使うタイプでした。真剣に取り組んでいても、求められるスピードに追いつけず、評価にもつながりませんでした。
後から振り返ると、私が自然と成果を出せていたのは、少人数でじっくり話しながら、一緒に物事を形にしていく場面でした。
当時は「人と関わるのが得意」とは思っていても、関わる人数や、相手と話せる時間まで意識していなかったのです。
先ほど紹介したWeb制作会社の方も、その強みが発揮される条件を確認した際に、目的や前提がある程度はっきりしている仕事では力を発揮しやすい一方、何も決まっていない状態から自由に考える場面では、力を発揮しにくいことが分かりました。
発揮条件を見つけるには、うまくいった仕事と、思うように進まなかった仕事を比べてみるのがおすすめです。
たとえば、
・どのくらいのスピードで仕事を進めていたか
・自分で判断できる範囲はどの程度あったか
・一人で進めていたか、周囲と連携していたか
・役割や進め方はどのくらい決まっていたか
・誰と、どのように関わっていたか
といった点を比べていきます。
「前の会社では評価されていたのに、転職してから成果が出なくなった」という場合も、強みそのものが変わったのではなく、転職先に強みを発揮できる条件が揃っていない可能性があります。
転職先選びでは「強みの再現性」まで確認する
強みと発揮条件が整理できたら、転職先の仕事内容と照らし合わせることが重要です。
たとえば、強みが「相手がうまく言葉にできていない考えを、質問しながら整理すること」で、発揮しやすい条件が「一人ひとりと時間をかけて関われること」だとします。
この場合、求人で「コミュニケーション力を活かせる」という言葉を見つけても、それだけでは判断できません。次のような点まで確認したいところです。
・顧客の話を聞き、考えや要望を整理する業務があるか
・一人の顧客と話せる時間はどのくらいか
・継続して同じ顧客を担当できるか
・対応件数やスピードと、提案の質がそれぞれどの程度重視されるか
求人票で分からない部分は、面接やカジュアル面談で聞いてみましょう。
・「顧客との打ち合わせは、通常どのくらいの時間をかけて行いますか」
・「一人あたり何社ほど担当し、どのくらいの頻度でやり取りしますか」
・「成果を出している方は、顧客への聞き取りや提案で、どのような工夫をされていますか」
こうした確認は、入社後のミスマッチを減らすことに大きくつながります。
過去とまったく同じ環境を探す必要はありません。大切なのは、自分が成果を出すうえで、特に必要だった条件は何かを押さえることです。
まとめ
自分の強みを知ることは大切です。
ただ、その強みを次の仕事でも活かすためには、過去の経験を振り返り、「自分はどんなときに力を発揮してきたのか」まで整理しておく必要があります。
自分の強みを、単なる自己分析の結果ではなく、転職先を選ぶための判断材料として使えるところまで具体化してみてください。
PITTA Careerでは、これまでの経験をコーチと一緒に振り返りながら、自分では気付きにくい強みや、その強みを発揮しやすい条件を正確に整理していきます。
強みや発揮条件を知りたい方、まずはコーチングの雰囲気を知りたい方に向けて、体験コーチングプランをご用意しています。



